イスラエルは中東のパレスチナに位置する国家。
世界の三大宗教であるキリスト教・ユダヤ教・イスラム教の聖地であるエルサレムがあるなど歴史が深く深遠な魅力に包まれた国家です。
しかしイスラエルと聞いた時に頭に浮かぶのは「戦争」「テロ」などといった危険ワードばかり、という人も多いのではないでしょうか?
今回は知っているようでよく知らないイスラエルについて解説し、イスラエル旅行に行く際に注意しておきたい8つのことについてご紹介していきたいと思います。
イスラエルに対して良いイメージのある人も、悪いイメージのある人も等身大のイスラエルを見ることで新たなイスラエルの知識を蓄えてくださいね。
この記事の目次
イスラエルの最新治安情報2019
外務省の海外安全ホームページによるとイスラエル全土に最低レベル1の注意勧告が出ています。
レベル1は「その国・地域への渡航・滞在に当たって危険を避けていただくため特別な注意が必要です」とあります。
このレベル1の注意喚起が出ているのはアッコやハイファなどの北方地域からペエルシェバなどの南方地域のイスラエル全域です。
首都のエルサレムも同じくレベル1となっています。
レベル1は一番低いレベルの注意喚起なので程度は低いですが外務省では「これらの地域においても不測の事態に巻き込まれないよう十分注意してください」と警告しています。
一方ガザ地区にはレベル3「渡航注意勧告」が発出されています。
レベル3は「渡航は止めてください」という渡航中止勧告です。
外務省はこのレベル3に指定されているイスラエルの地域について「その地域への渡航はどのような目的であれ止めてください」としているので、よほどの理由でない限り行かない方が良いでしょう。
レベル3の警告が出ている地域はガザ地区の他にヨルダン川西岸地区、レバノンとの国境地帯にも出ています。
「ガザ地区」という名前はニュースで聞いたことがあると思いますが、ここでもう一度おさらいしておきましょう。
ガザ地区とはイスラエルとエジプトの国境地帯です。
ガザ地区には約150万人ほどの人々が居住しています。
このガザ地区には主に第一次中東戦争で生じたパレスチナ難民とその子孫たちが暮らしています。
事実上はイスラエル政府によって隔離されていおり、パレスチナ難民の人々には生活の自由がありません。
ガザ地区の周りは防護壁で囲まれており、ガザ地区のパレスチナ難民は事実上この地域に収容されています。
イスラエル政府はこの防護壁をテロ対策の「自衛」として正当化していますが、パレスチナ難民は50年以上前に建設された老朽化した難民キャンプで無国籍状態に置かれ暮らすことを強要されています。
パレスチナ難民の権利はしばしば侵害されており現在も解決されていません。
イスラエルには2箇所のパレスチナ難民の暮らす「パレスチナ自治区」があります。
第一次中東戦争でエジプトが攻め込んだ「ガザ地区」とヨルダンが攻め込んだ「ヨルダン川西岸自治区」です。
これらの地区は外務省が危険レベル3の警告を出している地域と一致します。
つまりイスラエルの国の中をエジプトとヨルダンが自治区として統制している状態が続いているのです。
イスラエルの国民性は?
イスラエル中央統計局の2016年の調査によると多民族国家イスラエルの民族の割合はユダヤ人(約75パーセント)、アラブ人その他(約25パーセント)、キリスト教(2パーセント)、ドルーズ(1.6パーセント)となっています。
ここでは最も割合の多いユダヤ人の人をイスラエル人とし、その国民性について考えてみたいと思います。
持論好き
イスラエル人は討論が大好きです。
ユダヤ人は故郷を持たない民族と呼ばれていて現在でも世界中に散在しています。
長年土地の所有を禁止されていたのでユダヤ人には知識を重視するという傾向が生まれました。
知識が多く勉強熱心なイスラエル人は人と何かを討論することが大好き。
現代では直接会って討論するだけでなくSNSを使って討論することも。イスラエル人のSNS利用率やネット普及率が世界的に見ても高い水準を誇っているのはこのようイスラエル人の国民性が関係しているのかもしれません。
イスラエル人に医者や弁護士などといった大量の専門知識を必要とする職業に就く人が多いのも知識を重視するイスラエル人の特性が関係しています。
イスラエル人は幼い頃から議論するという訓練がされているため、反対意見が出たからと言って否定的な印象は持ちません。
むしろ一つの意見に対して別の意見を出し、議論が活発になっていくことをイスラエル人は良しとします。
その場の協調性を最も重視する日本人とは正反対の国民性だと言えるでしょう。
もしあなたがイスラエルで何かおかしいと思うことがあれば素直に口に出してみてください。
イスラエル人はそれを言ったあなたを「協調性のない人」とみなすことはせずに、あなたの言ったその「意見」に対して自分の意見をまっすぐ述べてくれると思います。
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コネや人との繋がりを重視する
イスラエルは人口800万人程度の小さな国のため、世間が非常に狭いです。
日本のように「あの企業は大企業だから製品が信用できる」というものの見方ではなく「〇〇さんが良いって言ってたからあの会社の製品は信用できる」というものの見方をします。
例えばビジネスをする際にイスラエル人に「良い」と評価され、そのイスラエル人が友人にあなたのビジネスを紹介してくれたとしたら、そのビジネスは瞬く間に広まり多くの人から高い評価を得ることでしょう。
反対にあなたがどんなに高品質の商品を作っていたとしても口コミで「あの商品は良くない」とイスラエル人の間で広まってしまったら、そのビジネスは絶望的に近いのです。
イスラエルの社会を生き抜くにはコネも大切で、人と人との繋がりが日本よりも重視されています。
良く言えば人と人との絆が深い。悪く言えば狭い村社会的なところがある。
そんな国民性があります。
自立心が強い
イスラエル人はとにかく自立心が強いです。
歴史的にも自分たちの意思に反して第三者に自分たちの国の運命や生活を変えられてしまった歴史を持つ彼らは、はっきりと自分の意見を主張することの重要性を身を以て学んでいます。
ルールや決まり切った固定概念に縛り付けられるのが大嫌いで、常に自由で縛られない環境を好みます。
イスラエルは国家としても多くの複雑な問題を抱えており、いつどうなるか分からない不安定な状態にあります。
だからこそイスラエル人はその瞬間、その瞬間を大切にするようになりました。
つまり他人に依存して自分の意と違う方向に流されている暇などないという考え方なのです。
このような国民性は「和」を重んじる日本人からすると少し殺伐としている印象を受けることもあるかもしれません。
恋愛に積極的
イスラエル人は男女ともに恋愛に積極的です。
男性は恋愛するとナルシストになる傾向あり。
女性は男性の気を引こうとか弱い女性を演じようとします。中高年や高齢者になっても恋愛に積極的な性格は変わらず、何歳になっても歳に関係なく恋愛を楽しみます。
デートするということは多くの場合付き合う、という意味になります。
感情表現も豊かなので幸せになって舞い上がったりするのも、失恋して悲しんだりするのも全力投球です。
むしろ感情を表に出すことの方が良しとされており、悲しいけど涙をぐっと我慢する姿に感動する日本人とは異なる価値観を持っていると言えるでしょう。
イスラエル旅行で注意しておきたい8つのこと
1 インターネット環境
結論としては、イスラエルで移動中にスマホを使用するのであればポケットWi-Fiをレンタルした方が便利です。
主要施設のみフリーWi-Fiが飛んでいる
まず、空港やホテル、ショッピングモールや大型チェーンの飲食店ではフリーWi-Fiが飛んでいるので、それらの施設では無料でインターネットを使用することができます。
しかし、速度が遅いのが難点です。
それ以外の場所ではフリーWi-Fiが飛んでいないことが多いので、移動中や街中ではなかなかネットに接続することができません。
そのため、ポケットWi-Fiが無ければ
- スマホで地図を見ながら移動する
- 移動中に観光地など調べ物をする
- SNSに写真をアップロードする
イスラエルでこれらができません。
イモトのWi-Fiがおすすめ
旅行好きに人気なポケットWi-FiがイモトのWiFiです。
イモトのWiFiの特徴は
- イスラエルであれば1000円/日程度
- 1つのWi-Fiを一緒に旅行に行く全員が使用することができる
このように、とにかくコスパが良いです。
デメリットといえば、予約が多いため、直前の予約だと在庫切れになっていることが多いです。
そのため、格安でWi-Fiを利用したい方は早めに準備しておきましょう。
2 治安に不安のある場所には近づかない
イスラエルのガザ地区、ヨルダン川西岸地区、レバノン国境地帯の地区には近づかないようにしましょう。
特にヨルダン川西岸地区は近年戦闘が激しさをましておりいつどうなるか予断を許さない状態となっています。
これらの地区でない場所にいてもイスラエル国内では銃を持った兵士が街中を歩いている光景や、場所によっては銃撃の音が鳴り響いている音が聞こえるのは当たり前です。
日本とは環境が大きく違いますので、まずはしっかり心構えをするようにしましょう。
またガザ地区などのユダヤ人側とアラブ人側の戦闘は常に激しく行われているのではなく、パッタリ止んだと思ったら突然激しさを増すなど非常に大きな波があります。
これは誤解されやすい部分なのですが、彼らの戦いはあくまでもユダヤ人側とアラブ人側の戦いです。
そのため他民族や観光客が彼らの戦いに巻き込まれることはあっても他民族を直接攻撃する理由は彼らにはありません。
そうは言ってもいつ激しい戦闘に巻き込まれてしまうのかは誰にも分かりません。
イスラエルに行く前には必ず外務省の海外安全ホームページをチェックして事前の最新情報を集めておきましょう。
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3 入国審査が厳しいので注意
日本人がイスラエルに滞在する場合90日以内であればビザは必要ありません。
短期の旅行であればビザを取得することなく旅行ができます。
しかしイスラエルと敵対しているイラク・レバノン・サウジアラビア・リビア・シリア・スーダン・イエメン・イラン・ソマリアの国の入国スタンプが押されている場合イスラエルへの入国審査は非常に厳しくなります。
その逆もあり、イスラエルの入国スタンプがある人はこれらの国への入国審査は非常に厳しいか拒否されてしまう場合もあるのです。
敵対する国のスタンプがあるだけで入国が拒否されてしまう可能性があるというのは日本では考えられない厳しさですね。
「今までの渡航国」はイスラエルに入国する際の最大のポイントとなってくるのを忘れないようにしましょう。
他に入国審査の際に聞かれるのは「渡航の目的」「旅行の手配は個人か、会社委託か」「滞在期間」「どこに行く予定か」「イスラエルには何回来ているか」「イスラエルに家族や知り合いはいるか」です。イスラエルに行く際は事前に答えを準備しておいた方が良いでしょう。
答えは「4days」など英単語のみでOKです。
場合によっては職業などを聞かれる場合もありますので覚えておいてください。
イスラエルの入国審査は世界一厳しいとも言われています。
イスラエルはこのように海外からの入国者を厳しくチェックしているため入国審査にはかなりの時間がかかります。
また最近ではイスラエルのスタンプがあると他国への入国が難しくなる場合があるとのことで「ビザ・カード」と呼ばれる紙を発給することで入国を許可している場合もあります。
これはパスポートの入国許可を示す大事なカードですので無くさないようにしましょう。
4 食事規定がある
イスラエル人の宗教は自由ですが、イスラエル中央統計局の調査によるとユダヤ教が75.1パーセント・イスラム教が17.3パーセント、キリスト教が1.9パーセント、ドルーズが1.6パーセントという割合になっています。
ユダヤ教の人々が大部分ですのでイスラエルのレストランではユダヤ教の律法に基づいた食べ物の規定が守られています。
この食べ物の規定は「コーシェル」と呼ばれ、羊や牛肉・鶏肉などすべての生き物は血抜きをしていないと食べることができません。
律法では食用の動物などを殺す際にも最も苦痛の少ない方法で一瞬で殺さなければいけない、と決められています。
また「子山羊をその母の乳で煮てはならない」という記述が聖書の中にあることから、肉と乳製品を一緒に食べてはいけないという規定もあります。
私たちは普段当たり前にハムと牛乳や生ハムのカマンベールチーズ巻きなどを食べていますが、このような組み合わせはイスラエルではありえない組み合わせです。
ちなみに魚介類は乳製品と一緒に食べることが許されています。
豚肉は一切食べることができませんので、注意しましょう。
ブイヨンなど豚エキスが含まれているものも禁止になります。
このようなルールは他宗教の人々には分かりづらいのでイスラエルに行く際は事前に確認しておくようにしましょう。
5 肌はあまり露出しない方が無難
肌の露出について説明する前に、まずはユダヤ教の「超正統派」についてお話ししたいと思います。
ユダヤ教には実は「超正統派」と呼ばれる宗派があります。
超正統派はユダヤ教正統派の中でも東ヨーロッパに由来する伝統的なユダヤ教を進行している人々に対する通俗的な呼び方です。
イスラエルでは約80万人ほどが超正統派に属していると言われています。
超正統派の男性は夏はどんなに暑くても黒いスーツに黒い帽子をかぶっています。
働いている人もいますが、「超正統派」の人々はイスラエル政府から補助金が出ており、いわば信仰を深めることが仕事のような人々も多いです。
イスラエル中央統計局によると2014年の時点で「超正統派」の男性の就業率は50パーセント以下、女性の就業率は70パーセントとなっています。
「超正統派」の夫婦は女性が大黒柱になって夫は信仰を深めるというパターンが多いのです。
さてそんな「超正統派」ですが、彼らにとって男性も女性も肌を露出することは良いことではありません。
イスラエルにはメア・シェアリームと呼ばれるユダヤ教「超正統派」が多く暮らす街があります。
そのような街に行く際は女性のミニスカートやノースリーブなど、肌の露出の多い服装は控えた方が良いでしょう。
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6 日本の電化製品は使えない!
イスラエルでも日本の電化製品をそのまま使うことはできません。
日本の電源電圧100ボルトに対してイスラエルの電源電圧は220ボルトです。
そのため日本の電化製品をイスラエルに持って行く場合には変圧器が必要になります。
電圧が違うと製品によっては変圧器を使っていてもショートして壊れてしまう場合がありますので注意が必要です。
コンセントの形状は三つ足の丸型、ヨーロッパ型と全く同じものになります。
ちなみにコンセント変換プラグは100円ショップでも買うことができます。気になる人はぜひ調べてみてください。
7 人混みにはなるべく行かない
イギリスの秘密情報部(MI5)が2016年に公開した「テロ発生危険度が高い47の国」にはイスラエルも入っています。
イスラエルに行く際はテロに遇う可能性がゼロではないことを頭に入れておきましょう。
テロが起こりやすいのは人気観光地などの人が集まりやすいところや、電車やバスなどの公共機関の駅や車内などです。
特にバスや電車などは不特定多数の人が利用しますので、心配な人は避けた方が良いです。
イスラエルにはタクシーがありますのでタクシーを利用するか、小型のバスをチャーターして知っている人同士で乗って移動しましょう。
実際に2015年にはエルサレムでパレスチナ人の男性がバスや歩行者に向かって車で衝突するという事件が起きています。
これによりイスラエル人3人が死亡、十数人が負傷しました。
こうした事件が起きるたびにパレスチナ人とイスラエル人の対立は大きくなり緊張感が高まります。
イスラエルの旅行中は人が多い場所にはなるべく近づかないよう注意して行動しましょう。
8 日差し対策はしっかり
イスラエルは日中の日差しが強いです。
そのため紫外線カットのサングラスや帽子は必需品だと言えるでしょう。
イスラエルは北の地方と南の地方で気候が大きく違います。
北は雨が多いですが南はほとんど雨が降りません。砂漠が多いのも南の地方です。
全体的な気温は日本の気候プラス3度程度だと考えて良いでしょう。
暑くても日焼け対策のために長袖を着た方がベターです。
朝晩の気温の差が大きいので旅行の際は羽織るものを持って行くと便利です。
日差し対策として常にミネラルウォーターなどの飲み物を常に携帯しておきましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回はイスラエルに旅行に行くときに最低限気をつけておきたい7つのことについてご紹介しました。
イスラエルにはエルサレムなど宗教的な遺跡や聖書の舞台となった場所も多いです。
エルサレム旧市街はイエス・キリストが処刑された場所として多くの観光客が世界中からお祈りに集まります。
日本とイスラエルは文化も宗教観も全く違います。
日本での当たり前がイスラエルでは全く通じないこともありますし、イスラエルの当たり前を日本人が受け入れられないこともあるでしょう。
イスラエルに行く際は事前に彼らがどんな文化のもとで暮らしていて、どんなことに気をつけなければならないのかをしっかり確認してくださいね。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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